Iñaki は mediasoup 、Lorenzo は Janus の作者です。彼らがTwitter でコミュニティに対してお気持ちを発表していたので少しまとめておきます。
また自社も OSS を公開しており Discord でコミュニティを運営している事もあり、自分の運用方法を書いておきます。
mediasoup 作者のお気持ち
「ここは無料のコンサルタントサービスではない」
詳細は以下。
Jansu 作者のお気持ち
「無料サポートプラットフォームではありません」
詳細は以下。
WebRTC コミュニティの問題
これ以外にも webrtc-discuss や react-native-webrtc などのコミュニティでもドキュメントを読めば分かる質問、回答を書いても反応がない、助けて!とだけ書かれた投稿などがとても多いです。
この理由は OSS よくあるといえばそれまでなんですが、それ以外にも問題があると思っています。
WebRTC って音声や映像をリアルタイムに送受信する技術なわけですが、誰が見てもわかるんです。音が来ないもすぐわかるし、映像が遅延してる、表示されないもすぐわかってしまうんです。
つまり技術者じゃなくても問題が起きていることに気づけてしまうんです。
で「なんか音声が流れてこない!このソフトウェアは問題だ!」となってしまうわけです。
これに対応する場合、作者たちは「WebRTC という技術の難しさをよくわかっていない人たち」へ無料のサポートを提供しなければならなくなります。これも負担が大きいです。
「UDP は利用できる環境に居ますか?」「TURN は利用していますか?」「ポートは空いていますか?」これだけでもある程度の知識がいるため、反応は期待できません。もし 反応があったとしても「UDP とはなんですか?」かもしれません。
WebRTC が出て 5 年以上立っていますが、作者たちは疲れてきているように感じています。
時雨堂による WebRTC 関連の OSS コミュニティの運用
自分がコミュニティ疲れが起きないように運営しています。
日本語でしか対応しない
コミュニティの言語は統一する必要があると考えています。自分が一番話せる言語である日本語を採用しています。今は翻訳ツールもとても優秀ですので、問題はないと考えています。
サポートはしない
サポートはしないと明記しています。そのためアドバイスがメインです。
GitHub Issues は Discord 経由でのみ建てられるようにする
GitHub Issues に質問をさせないというのを徹底しています。かならず Discord で相談してもらってから立ててもらうようにしています。
GitHub Issues にとりあえず立ててくる人をフィルターできます。これはすごい効果があるのでおすすめです。
コミュニティマネージャを雇う
お金がかかります。さらにメリットはそんなに大きくはありません。OSS 自体で稼げるわけではないので、基本的にコストセンターになります。
ただし、雇うことで負荷は減らせます。
早めに反応する
少なくとも 1 日以内には反応するようにしています。そのためのコミュニティマネージャーでもあります。
従業員は担当させない
時間外の対応が多いためです。
バグ対応はがんばる
Discord 経由で上がってきた Issues に対してはがんばります。根本的に解決できない限りはなんとかすることにしています。
失礼な質問には丁寧にお断りする
「失礼な質問を投げてもいい」と思ってる時点で相手にするだけ無駄です。