時雨堂は何をしている会社なのか

2024 年 2 月版

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6 min readNov 23, 2022

大変反省したので、何をやっていて、どんな会社なのか書いていきます。知ってもらうためにも定期的に更新していければ思っています。

まとめ

  • 零細企業
  • リアルタイムな音声と映像を扱うミドルウェア製品を作って売ってる
  • ミドルウェアのクラウド版を作って売っている
  • サブスクリプションモデルの積み上げ型
  • OSS 重視

何をやってるのか

時雨堂はミドルウェアソフトウェアをパッケージとして開発、販売しています。最近は「リアルタイムな音声と映像、データの配信」に特化したミドルウェアがメインです。

現在の主力製品は WebRTC SFU Sora (以降 Sora)という本来は P2P で利用する WebRTC を、クライアント・サーバー方式で利用するソフトウェアを1 から開発して、販売しています。売上のほとんどはこの製品関連になります。

製品はサブスクリプションを採用しており、 3 ヶ月、6 ヶ月、 12 ヶ月単位で Sora を利用するためのライセンス契約をしてもらっています。つまりソフトウェア利用料ビジネスです。

ちなみにライセンスの最小価格は 3 ヶ月の 18 万円 です。

また、パッケージソフトウェアをクラウド版として利用できるようなサービスを提供しています。クラウド版は 1 ヶ月単位の従量課金で最低 5 万円からです。

どんな会社なのか

正社員は 3 人で、売上は月 4000 万円以上の場合もあります。顧客はありがたいことに幅広くスタートアップから、大企業まで多くいます

給与体系は賞与を中心としており、ここ数年は 1 人 1200 万以上の賞与を出しています。評価制度もなく、給与は正社員全員が同じです。

定時が 10:00–17:00 の 6 時間労働、土日祝日休み、有給休暇 20 日、残業はリリース前でない限りほとんどありません。現在は社員やお手伝いしてくれている人、全員がフルリモートで仕事をしています。

どんな働き方なのか

基本的にはタスク割り当て (GitHub Issues で割り当てて、GitHub Projects で管理してる) ベースで、黙々と作業を進めていく感じです。1 タスクの粒度はかなり大きく「この機能を追加する」や「リファクタリング」や「テスト書く」は長いと数ヶ月にもなります。

タスクの例としては「Raft を利用したクラスターでの負荷分散を実現するリレー機能」や 「OBS のWebRTC 対応」、「Go でリアルタイム文字起こしミドルウェアの開発」、「C++ SDK をベースにした Python SDK の開発」、「libwebrtc の H.265 (HEVC) 対応」などがあります。

顧客との打ち合わせだけでなく、社内の打ち合わせもほぼありません。売上にコミットする必要もありません。開発者は設計してコードを書いてメンテナンスするのが仕事です。

最優先タスクは顧客からの問い合わせへの対応で、全社員がそれ以外のタスクを中断して対応しています。サポート担当という役職はありません。

バックオフィスや税務、法務は顧問税理士顧問弁護士と社員が連携して担当しています。ちなみ顧問税理士と顧問弁護士には Slack に常駐して貰っています。

見積もりや請求書の発行には board というツールを使っています。

どんなビジネスモデルなのか

営業は一切しておらず、ウェブサイトを見ての問い合わせのみです。

カッコの中はざっくりとした自社製品の売上の内訳です。

  • 自社製品ライセンス契約によるサブスクリプション (80 %)
  • 自社製品ライセンス契約企業向け技術コンサル (10 %)
  • 自社製品 OSS へ有償での機能追加 (5 %)
  • 自社製品クラウド版のサブスクリプション (5%)

これ以外にも、知り合い経由で相談されて技術コンサルを複数お手伝いしたり、海外の企業のお手伝いもしたりしています。

自社製品への特定顧客向けカスタムは一切受けていません。あくまでパッケージ製品の提供のみです。

OSS への有償での機能追加

特定の顧客に向けて OSS のカスタマイズを行うとかではありません。「今後実装予定の機能一覧」を公開しておき、この中から既存の顧客に「実装してほしいものを選んで早めに機能追加をする」権利を買ってもらうというものです。これを自社では「有償での優先実装依頼」と呼んでいます。

ありがたいことに、思った以上にご依頼いただいており、十分な利益が生まれています。

また、メインラインにはマージしないが特定の機能を保守費用をもらう事で維持をするといった事もやったりしています。これはあまりにも特殊な対応ではあるが自社でも対応はしたい。しかし、メインラインにはマージしたくないという理由を理解していただいての対応となっています。

自社サービス

主力の自社製品を利用したクラウド版サービスを提供していますが、料金体系をニッチに寄せています。時間や転送量といった課金ではなく、同時接続数と利用帯域による課金にしており、24/265 繋ぎっぱなしにしたい、遠隔支援が主なターゲットです。

自社サービスは「競合他社では満たせない需要」を供給することを目的としており、長く続けていく予定です。

開発のリソース割合

  • 自社 OSS 90 %
  • クローズドコード 10 %

多くのリソースを直接は売上を上げない自社製品の OSS に費やしています。「主力製品の Sora を使いたくなる OSS」を提供することを重視しています。そもそも SDK やツールがしょぼいミドルウェアは使われないという考えです。

お手伝いして貰っている人たちには基本的にフルタイムで時雨堂 OSS の開発と検証とコミュニティ運営を担当して貰っています。

自社サービスも基本的にお手伝いして貰っている人に開発、運用をお願いしています。

主力のパッケージ製品の開発とサポートは社員だけ行っています。

スポンサーや寄付

自社製品の売上が出るようになったタイミングから、OSS 開発者のスポンサーをしたり、災害のあった地域に寄付をしたりしています。詳細は自社サイトのお知らせをどうぞ。年間 1500 万円近くをスポンサーや寄付に使っています。

蛇足

今は Sora を自社で運用して提供するクラウド版 Sora である Sora Cloud を開発/提供したり、Sora の分散システム機能を開発したり、SDK を開発したりしています。

いままでずっとパッケージ版のみで売上を上げてきたので、クラウド版は新しい挑戦ということでワクワクしながら開発しています。どんな技術を使っているかは Zenn をどうぞ。

もっと時雨堂の事を知りたいかたはこちらをどうぞ。

時雨堂で働いてみたいというかたはこちらをどうぞ。

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