時雨堂 10 期振り返り

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6 min readSep 23, 2022

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時雨堂は 9 月決算なので、振り返っていきます。

方針通りには進んだ

前期に上げた方針は以下の通りです。

来期は自社製品の SaaS を提供予定です。ただの SaaS ではなく他社には無い自社製品の強みを生かした製品を提供します。

実際 2022 年 6 月 1 日に主力製品である WebRTC SFU Sora の SaaS 版である Sora as a Service Tobi のアーリーアクセスの提供を開始しました。

時雨堂にとって初めてのサービス型製品ということで、早く利益を出すよりも「顧客が安心して使える」を目的に設計をしました。

既存の WebRTC の SaaS を意識するのではなく、あくまで「自社の主力製品であるパッケージ製品を自前で運用しなくて良い」というマネージドサービスを提供する方針にしました。これはよくある OSS を開発し、そのマネージドで稼ぐというビジネスを意識してます。

さらに、既存のサービスとは全く異なる「転送量や利用時間では課金をせず、同接続数と利用帯域で課金する」という方針にしました。

これはリアルタイムコミュニケーションという技術は「常時接続または長時間接続」で利用する場面でも活用してほしいと考えているためです。

特に遠隔支援では特に時間を気にせず利用したくなるでしょう。

主力製品の強化

今期は主力製品で他社との差別化をした「クラスター機能」の提供を実現出来ました。2021 年 12 月リリースでクラスター機能を搭載し、2022 年 6 月リリースで安定化、来期の 2022 年 12 月でクラスターの仕組みを変更し、さらに「ノード間転送機能」を追加するという方針で進めています。

クラスター機能は高可用性のための機能です。クラスターを組む一部のノードに障害が起きたとしてもサービスが継続できるようにと顧客からの要望や自社サービスでの利用を想定して開発しました。

さらに今後はノード間転送機能、これはクライアントがクラスターのどのノードに繋いでも他のノードに繋いでいるクライアント音声や映像をやりとりする機能です。この機能を実現することで、スケーラビリティを実現します。

もう、がっつりと分散システムになりつつありますが、リアルタイムコミュニケーションサーバーが分散システム化していくのは方向性としては正しいと考え得ていますので今後も積極的な開発をしていきます。

ドキュメントへの全文検索導入

ドキュメントに Sphinx を導入してから、ねんがんだったドキュメントへの全文検索を導入することができました。Meilisearch という Rust で書かれている検索エンジンを導入して実現できました。

全文検索は https://sora-doc.shiguredo.jp/ で体験することができるので是非触ってみてください。

フルリモート

今期もフルリモートを継続しました。事務作業のある社員が数回出社したのみです。今後も継続していく予定です。

正社員が増えた

新しく正社員が増えました。Rust と Erlang/OTP チョットデキル 人なので Zig と Erlang/OTP を書いて貰っています。

売上

今期は自社製品関連以外の仕事をほとんど受けていない状態で、過去最高の売上だった前期を上回りました。利益も過去最高です。

2 月には月の売上が 4000 万円を越えました。従業員が 5 名の企業としては驚異的だと思います。今期は売上のほとんどが自社製品関連となりました。

賞与

今期も 1 人 1200 万円以上の賞与を出すことができました。

OSS スポンサーと寄付

今期は総額 11,386,370 円でした。内訳などは別記事にまとめてます。

コミュニティ

今期は Discord で運営している自社コミュニティが 1000 人近くまできました。今の時代、コミュニティはとても大事だと考えています。特に「匿名であること」は重要だと思っています。

サマーコード 2022

今期は初めての試みとして夏休みの学生向けに OSS 開発のお仕事を依頼するというものをやってみました。

学生へのスポンサーという気持ちなので開発したコード自体をそのまま利用するという事はありません。

1.5 ヶ月で 60 万円というお仕事で、内容は Zig を利用した OSS ライブラリの開発です。目的は自社で開発する前にいろいろ罠を踏んでもらい、自分たちが開発する際の参考になるコードを書いて貰うという内容です。

お手伝いしてくれた学生からも良いフィードバックをいただけたので大変嬉しいです。

ウィンターコード 2022 もやれたらなと思っています。

11 期に向けて

WebTransport を利用した大規模超低遅延配信サーバーを発表予定です。また Sora as a Service Tobi を多くの企業に提供していければと思っています。

雑感

お金を取る自社サービスを提供するは 2 回目なのですが、前回のサービスは月 500 円の個人向けサービスでした。今回は安くとも月数万円のサービスで企業向けということもあり SLA もあります。まずは SLA 99% での提供ですが、将来的には SLA 99.99% まで上げていきたいと思っています。

今回提供し始めた SaaS は 6 月から 9 月までのアーリーアクセス期間中は SLA 100 % を無事達成できそうです。これは監視と運用に力を入れ、とにかくサービスの継続性を優先して設計したのもあり、とても嬉しいです。

この辺りは時雨堂 SaaS を支える技術というのを書いてるのでもし興味があれば見てもらえると嬉しいです。

パッケージ製品とそのマネージドサービスというやりたかった構成がなんとか 10 期で実現できました。この既存パッケージ製品で充分な売上が出ている間にマネージドサービスの展開と次の製品の発表をと考えております。

来期も時雨堂らしい製品を開発、提供していきます。

多くの企業で利用されている Erlang/OTP で書かれたパッケージ製品や、そのパッケージ製品を少人数で大規模かつ耐障害性を重視したマネージドサービスなどに興味ある方は社員を募集しておりますので、是非。

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