AV1 の未来が開いた

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5 min readDec 6, 2017

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今、よく使われているビデオコーデックといえば H.264 でしょう。ただ H.264 は最先端の技術とはいえません。今後は H.265 に切り替わっていくかと思われましたが、H.265 はパテントがとても複雑です。そのため広がっていくとは思いにくいです。

そんな中、H.265 のパテントの闇に取り込まれないようにするための光が AV1 です。

AV1 は AOM Alliance for Open Media という団体が定義、開発しています。

アライアンスメンバーを見てもらえればわかりますが、そうそうたるメンバーです。まぁもちろん Apple はいません。

追記

AOM Allicance のファウンダーメンバーとして Apple が参加しました。

そもそも AV1 は H.265 とくらべてパテント以外でのメリットは有るんでしょうか。結論としては AV1 は H.265 の 25 %ほど圧縮率が高いとされています。

H.265 が 1000kbps 必要な画質を AV1 は 750kbps で実現できると考えてもらって構いません。

パテントがなくて圧縮率が高いと、いいことずくめの AV1 ですが、現時点で安定版で対応しているブラウザはありません。

ただ、最近 Firefox が Nightly で対応しました。

さらに、 AV1 のサンプルデータを公開し、Firefox Nightly で見られるデモを用意しています。

また、Chrome も Canary で chrome://flags で有効にできるようになりました。

AV1 の対応

AV1 は 2017 年で仕様がフリーズし、2018–2019 年でブラウザなどに搭載、2020 年までにはハードウェアアクセラレータに対応というざっくりしたスケジュールがあります。

AV1 は WebRTC での利用も前提とされているため、リアルタイムでの変換もがんばっていく予定になっています。

ただ、2017 年 12 月時点での AV1 は 1 秒をエンコードするのに 150 秒かかります。お話になりません。

ただ、画質はビットレートからすると感動的なので是非みてみてください。

AV1 の技術的な仕様は全て公開されています。

もちろんソースコードも公開されています。

ちなみに、ソースを読むと libvpx そっくりです。もともと VP10 だったのを AV1 としたというのもうなずけます。

仕様は日本語で解説してくれている人がいます。仕様のほとんどを日本語に翻訳してます。ありがたいことです。

また、最近のアップデート情報が YouTube で公開されています。

細かい技術資料は AOM — AV1 How does it work? で公開されています。

AV1 は高圧縮でパテントフリー、更には多くの企業が賛同しています。ただ、 H.265 に勝てるかどうかは微妙なところです。H.265 にはあの Apple や Sony がいます。

ただ WebRTC の世界では AV1 は Opus のようなデファクトになっていくと思っています。WebRTC 対応は早くても 2018 年後半にはなるでしょうが、これから高速化されていく予定です。

高圧縮なビデオコーデックは帯域が減るため、そのまま配信会社のコストが下がります。これはとてもよいことです。ただし CPU 負荷はあがりますが。

AV1 はつい最近まではふわっとしてたコーデックでしたが、ここにきて怒涛の展開になっています。

MPEG-DASH で AV1/Opus で YouTube が配信を始めるのも時間の問題でしょう。Netflix も使っていく予定のようです。

来年は AV1 に期待しましょう。

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