零細企業における自社製品宣伝

ミドルウェア開発メーカーの場合

V
Jan 24, 2022

ミドルウェア開発をしている零細企業で一番重要なのは「自社の製品を興味を持ってくれるだろう人に知ってもらう事」です。

普通はそれは営業が担うのだと思いますが、マニアックすぎるミドルウェアの場合は営業が売るというのはかなり難しいと感じた経験から、自分の会社では営業は雇わず、インターネット上での自社宣伝を行うようにしています。

せっかくなので、最初にマーケティングを仕事にしていた人から教わったこと、実際自分でやってみたこと、その結果どうだったか、そして今なにをやっているかを雑に書きだしていこうと思います。

経験者に相談する

商品の宣伝なんかしたことがありませんでしたし、販売先にコネがあるわけでもないので、まずは「宣伝する方法」を詳しい人に教わることにしました。

頼ったのは外資系企業で技術マーケティングを担当したことのある古川さんです。色々教えていただいたのですが、自分なりに教わったことでやってみようと思ったことをまとめました。

宣伝結果は売上のみだけで判断すること

宣伝するとその宣伝の効果測定をしたくなるが、実際に効果測定してうまくいく事はほとんどなく、売上が上がったらその宣伝はうまくいき、売上が上がらなかったらうまくいかなかったと判断するべき。

細かな数字を意識しながら宣伝をしていくと細かな数字を上がる事だけを考えるようになってしまう。宣伝=売上が増えるというシンプルな仕組みで考えた方が良い。

宣伝はしつこく同じ事を定期的に伝えること

宣伝で重要なのは「製品を知ってくれる人を一人でも増やすこと」に他ならない。100 人中 99 人が知っていても 1 人が知らなければそれは宣伝する価値はある。とにかく人に知ってもらう事が重要。

良い製品でも知ってもらわなければ売れない。

どこから手をつけていいかわからなかった自分には、とてもシンプルでわかりやすかったです。宣伝により売上と製品を知っている人を増やすだけをやれば良いように思えたからです。

実際に何をしたか

宣伝といってもあまりよくわからなかったので、プログラマーである自分がやれることといえば、その分野について調べたときにインターネットの検索でよく出てくるようになるという事にしました。

自分で開発しているわけですし、知ってることは多いし間違いも少ないはずです。それらを資料としてまとめて、定期的にアップデートしていくという戦略をとることにしました。

まとめて資料として公開する

当時は MQTT で、今は WebRTC を扱った資料を書いてまとめることにしました。MQTT では Broker 、WebRTC では SFU というプロダクトをプロトコルから開発していたこともあり、知っていることは隠すこと無く全部書きました。

定期的に更新する

書いた当時は毎週のように資料を更新していました。自分が「更新され続けている資料」は信頼できると思っていたというのが一番大きいです。

とにかく新しい情報があれば反映してツイッターで放流するというのを繰り返しました。

自分は文章は下手ですが、書く事自体に抵抗はないので、ガンガン書き進めました。そもそも知っていることでなので調べ物とかもせずに書けるのでサクサク書き進められます。これは今も変わりません。

結果どうなったか

資料を見て問い合わせてくださるかたがとても増えました。また WebRTC といえば時雨堂というラベルもできたように感じます。

とにかく資料はたくさん書きました。途中で更新しなくなった資料もありますが、できるだけ更新するようにし、更新しなくなった資料には「こちらに最新版があります」や「この資料は更新していません」と明確に書いたりもしています。また資料には必ず更新日を残してるから「古い資料」かどうかも判断してもらえるようになっています。

とにかく「知ってもらう事」は資料を更新し続けて、インターネットに放流し続けたことは成功しました。

ブログや資料を書くのは検索して引っかかった時に「この資料、良いな」と思ってもらえることが重要だと思っています。

基本的には瞬間の宣伝ではなく、中長期的な宣伝と考えています。

今は何をしているのか

資料の更新は昔ほど頻繁ではありませんが、書くようにしていますし。毎月1回は自社製品の宣伝ブログを定期的に書くようにしています。

同じような内容でも更新があればその内容を反映して、書くようにしています。

「一つ記事を書いて、公開した」で売上が上がればいいのですがそんなことはありません。量を書いて放流し、更新し続けています。

最近ではオンラインイベントも定期的に行っています。

Discord では WebRTC や自社製品の最新情報を積極的に書き込むようにしています。ありがたいことに 500 人以上が参加してくれるサーバになりました。

ファンを増やす

おまけなのですが、時雨堂の宣伝方針は「自社製品を知ってもらう人を増やし、時雨堂または時雨堂の製品のファンを増やす」です。知っている人が増えれば他の人にも紹介してくれるかも知れませんし、ファンになってもらえれば別の会社に転職したときも時雨堂の製品を採用してくれるかも知れません。

--

--