ソフトウェアのパッケージ販売に携わってもう 10 年以上になるが、どうもこのビジネスってずるすぎないか?ってずーっと思いながらやっているのだが、 ajiyoshi が商売の脆弱性という、うまい表現を使っていたのでパクることにして、ブログを書いてみることにした。タイトル重要。
前提
自分はミドルウェアという分野のソフトウェアパッケージ製品を専門にしている開発者(あと経営者)という立場。会社を持つ前も同じ分野を担当していた。
ここでのソフトウェアのパッケージ販売というのはミドルウェア製品のパッケージ製品のサブスクリプションライセンス販売を指している。
ソフトウェアのパッケージ販売
在庫が不要
ほんとこれ。なんだよそれって思う。うちの例だとダウンロード URL とライセンスファイルをメールで送ってそれで納品完了。
在庫がないのに物が売れるって本当に意味がわからない。ダウンロード URL から製品をダウンロードしてもらっても、うちから製品の在庫は減らない。
サブスクリプションビジネス
購入するのではなく、利用する権利を売る。それも毎年。というのがサブスクリプションライセンスのビジネスモデル。
うちの製品だと最小が 60 万円/年になる。もしこのライセンスを購入した場合は、購入時に 60 万円かかる。その後 1 年ごとに利用したければ 60 万円かかる。
このライセンスの更新というビジネスモデルは相当ずるくて、製品価値を相手が必要としている限りは営業不要で毎年売上が発生するモデル。
「今年も更新します」という連絡を頂くのがどんなにありがたいか。
更新時もライセンスファイルをメールで送って納品完了。
パッケージソフトウェアのため運用が不要
当たり前だが自社で運用するという概念がない。お客様環境で動かすため運用にはタッチしない、むしろできない。
つまり運用費用という概念が存在しない。それがパッケージソフトウェア。
このアドバンテージは本当にすごい。在庫がない上に運用が不要。SaaS や PaaS でありがちな運用という概念すらなくなってしまうビジネスモデル。
商売の脆弱性
- 在庫が不要
- 運用が不要
- サブスクリプションモデル
この3つが商売の脆弱性を付いてるなとすごく思う。一つ一つがというのではなくこの3つが組み合わさることで完全に詐欺っぽい感じ。
もちろん、製品が求められことが前提ではあるが、それはどの商売でも同じようなものだと思うので、ここでは前提としない。
ずっとソフトウェアのパッケージ販売というビジネスの中で戦っているが、いつまでたってなんだかずるいビジネスだなという感覚があったのだが、いい表現がなく「ずるい」という稚拙な表現を使っていたのだが、「商売の脆弱性」をついているビジネスという言葉はとてもしっくり来た。
蛇足
パッケージソフトウェア製品におけるサポートビジネスの終わり
パッケージソフトウェアあるあるなのが「製品の N % を毎年サポート費用としていただきます」や「アップグレード時に費用をいただきます」というモデル。サブスクリプションライセンスより少し古いビジネスモデルだとこのモデルが多かったように思える。
個人的には両方受け入れがたかった。さらに以前の職場で両方を販売側として経験しているが、はっきり言って顧客にとって嬉しくない。
製品の N% を毎年サポート費用として貰うモデル
これ、はっきり言って破綻していると思っている。つまり保険を売ることになる。製品の価値ではなく保険を売るモデルなので、なにもないと顧客の不満がたまっていき、結局はサポート費用の値下げを要求されることになる。
何もなければ丸儲けという考えから生まれたビジネスモデルのように思えるが、正直受け入れられない。
特にミドルウェアパッケージ製品の世界でよくあるモデルだが、とにかくセンスが無いと思う。ソフトウェア製品で保険を売ってどうするんだ。
自社製品はサポートを年間利用料に含めてある。
アップグレード時に費用をいただきます
アップグレードしてくれないとサポート対象じゃなくなりますよ?、なのでお金払ってくださいねというモデル。自分としては「買う側」の人間としては良いのだが、「売る側」としては受け入れ難い。
ソフトウェアは定期的に改善をしていく前提の製品のため、それをアップグレードを理由にお金をもらうのは自分のなかで納得できなかった。
改善をし続けてそれを「使い続ける」というところでお金をもらうべきというのが自分の考え。