“二番煎じやるなら全力で” と戦う

知り合いの経営者に言われた二番煎じやるなら全力でという言葉が強く心に残っている。ここで言う二番煎じというのは簡単に言えば、似たような製品やサービスを作って行くという話である。

二番煎じをやるということは、ある程度その市場が儲かっており、二番煎じだとしても利益が出る可能性が高いということだろう。

二番煎じの強みは「考えなくていいこと」であることは間違いないと思う。すでに市場を先に走っている相手がいるわけだから、まずはそれと似たような製品を出せばいい。で、それをやるなら全力でやれという話。

相手は先行者がいないため、色々考えることがあるが、二番煎じをやる場合は先行者の模倣をしながら先行者が実現していなことを足していけばいい。

むしろ二番煎じをやると決めた以上は、なんとなく作ってなんとなく儲けるのではなく全力でやれという話。

本題

さて、二番煎じをしろというはなしではなく、自社の場合は二番煎じをされた場合どうするかを考える必要がある。今の時点で自社が販売している WebRTC SFU は自分が認識している範囲でパッケージで提供しているのは国内では自社だけなので、今の所一番煎じのようだ。

ここで二番煎じを全力でやられないようにどうするべきかを考えてみることにする。

そもそも大手企業にとって儲からない市場にしてしまう

これは、もともと自社の戦略としてあって。大きな会社ではないうえに大儲けを狙っていないので、製品の価格を安めに設定して長く使ってもらうことで利益が出るモデルを取っている。

これは大手企業が参入しづらくするという意味もこめている。零細企業 vs 大手企業ではやってられないからだ。それよりは「製品を買ってしまったほうが早い」と思わせるのが一番良い。

儲からない市場には二番煎じは入って来にくい。

ちなみに小さな企業にとっては十分なくらいの利益を得られると考えた価格設定ではあるので、赤字で戦うとかはない。

技術的に難易度が高いことばかりやり続ける

WebRTC の世界は音声と映像を扱っているため思いの外簡単に見えるが、実際はとても難しいし、何より変化が激しい。

これをあまり高くない製品価格でやられると大手は参入しにくい。そもそも参入自体を諦める気がする。興味すら持たないと考えてる。

さらに自社のブランドとして技術アピールすることで、二番煎じを潰していくのは重要になる。

WebRTC SFU 本体以外は OSS にしてしまう

OSS は大好きで、貢献も好きなのだが自社製品はクローズドソースだ。理由はサポートで稼がず製品の価値で稼ぐため。

ただ、顧客が使うクライアントの部分は全て OSS のライセンスは Apache License 2.0 として GitHub に公開している。

実は WebRTC はクライアント側のノウハウはとても美味しく、クライアントの SDK を利用するだけでお金を取る会社もあるくらいだ。

ただそこを全て無償にしてしまう。自由に使えるしコードも読める。さらに全力でアップデートしていく(クライアントで利用する libwebrtc は 6 週間ごとにリリースされる) 。

これは二番煎じの会社にとってはたまらないだろう。自社製品と同じ API を持ち、同じような仕組みを開発し、さらに価格を安くしサポートの質を上げれば、そのまま利用できるがそれは現実的ではない。

自社製品より安い価格で質の良いサポートを提供することは現実的ではない。

SDK のようなお金を稼ぎにくい部分に投資をする

SDK は本体ではなく、利益を生む部分ではない、ここへ投資するのはとても難しい。ただそこを踏まえて、製品と同等のコストを SDK にもかけていくことで、二番煎じを行わせないようにする。

本体と SDK 両方を維持するのはとてもコストが高い、それを自社より安い金額で提供する必要がある。

SDK は実際、開発者が使うため開発者の気持ちがわからない経営者だったりすると、おざなりにされたりもするが、実は開発者を味方につけることが一番重要だと考えているので、SDK へのコストはかなり重要になる。

機能を少なく、価格は安く、高い品質

機能さえ増やさなければ価格を安くし、高い品質を維持することができる。実際自社の製品ができるのは配信と録画の2つだけだ。それ以外は今後も搭載予定はない。

こうすることで内部実装の改善や品質向上、新技術への対応などだけに注力できる。機能を捨てることで市場は狭くなるかもしれない、ただ無理に広げようとして機能を増やして価格を高く、品質を低くするメリットはない。

高機能にするとどうしても品質が下がってしまうため、それをカバーするためにはリソースが必要になり、価格が高くなる。これを機能を少なくすることで防いでいる。

雑感

今の自社製品に対する二番煎じ対策を書いてみた。

自社製品で一番安いのが 60 万円/年 という価格。10 売れて 600 万、100 売れてやっと 6000 万。ただ小さな会社にとって毎年 6000 万入ってくるのはとてもとても大きい。二番煎じとしてはどの程度魅力があるかわからないが、いかに二番煎じを潰すかというのは小さな会社にとっては重要な課題だと考えており、上記のような対策をしてみている。

ちなみに二番煎じ対策は決めてしまえば具体的にやることはなくなるというのも実はメリットの1つだ。実際自社では価格、開発やサポートの方針を決めて終わり。

二番煎じ潰すなら早めに、そしてコストを掛けずに。

Written by

Erlang/OTP / 時雨堂 / WebRTC / E2EE

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